堆積物底における住み込み共生の生態学

 アナジャコ類、スナモグリ類、テッポウエビ類を宿主とする、魚類と甲殻類の住み込み共生を研究しています。

宿主甲殻類の生態

アナジャコ類、スナモグリ類、テッポウエビ類などの甲殻類を研究対象として、その巣穴構造や食性をはじめとする生態学的特性や生活史を研究しています。

住み込み共生者の生態

甲殻類の巣穴に住み込む、おもにハゼ類の生態学的知見を明らかにする研究を展開してきました。野外調査に加えて、実験室内での行動観察を進めて、住み込み共生に関わる適応進化を追求します。共生者の多様化プロセスについても扱いたいと思います。

保全生態

その特殊な生態から、巣穴に住み込む生物の多くが絶滅のおそれがある種として指定されています。住み込み共生者の基礎的な生態学的特性を明らかにしつつ、日本各地での調査からその生物地理学的記録を残します。



その他の寄生・共生

ヤドリムシ類

 ヒライソガニの鰓室に寄生するヒライソガニノエラムシは、宿主の繁殖、2次性徴、コンディションを悪化させることが明らかになりました(Corral et al., 2019b)。また、カニ類の鰓室に寄生するエビヤドリムシ類について、日本初記録の2種、フタホシイシガニエラムシ、エンコウガニノエラヤドリを土佐湾・若狭湾から採集して記述しました(Corral et al., 2019a)。

 エビヤドリムシ類とフクロムシ類による寄生の影響の違いを明らかにするため、土佐湾のフタホシイシガニを宿主とする2種を比較しました(Corral et al., 2021)。

 現在は、クルマエビ類に寄生するエビヤドリムシ類の研究を進めています。